おくさまは18歳

『おくさまは18歳』に岡崎友紀が出演を決めた理由

『おくさまは18歳』は、1970年TBSの秋の新番組としてスタート。

 原作は週刊マーガレットに連載されていた、本村三四子作の少女漫画
で、アメリカのハイスクールが舞台の物語である。それを日本に置き換
えて、当時テレビドラマのヒット作品を連発していたシナリオライター
佐々木守が脚本を手掛けた。

 この作品の企画書は当初、数々の秋の新番組の企画書と共に、所属事
務所の社長のデスクに積まれている中の一つに過ぎなかった。この山積
みにされた企画書を、最終的に岡崎友紀自身が目を通すことになり、事
務所のデスクで一つ一つチェックした。

 いわゆる「青春もの」や「スポ根もの」が企画書のほとんどを占め、
その中に当時話題になっていた「幼な妻」「ハレンチ学園」的な流行り
ものの企画書もいくつか混じっていた。その企画書の中から一つだけ、
キラリと光る、アメリカンライトコメディのテイストの作品を見つけた。

 それが「おくさまは18歳」だった。

 シチュエーションのみならず、主人公の「高木飛鳥」という役名も、
大いに気に入った。そして配役予定の欄には、岡崎友紀の名前の横に、
哲也役に石立鉄男の名前があり、二年ほど前のNHK連続ドラマ「あねい
もうと」の瀬戸内海ロケのゲストで石立が出演し、そのロケ中に岡崎友
紀のバースデーをスタッフが祝ってくれた時、偶然にも石立鉄男の誕生
日が同じ日だったことで、思い出深いロケとなったことを思い出した。

 原作の漫画は読んだことがない岡崎友紀だったが、山積みの企画書の
中から、迷うことなく「おくさまは18歳」を選び、出演が決定した。

 スタート時の予定では、2クール(半年間)の放送予定だった。しか
し、高視聴率が続いたため、TBSはもう1クール(3ヶ月間)延長。そ
して、最終的にはもう1クール延長し、一年間の放送となった。

 局としてはもっと延長したかったらしいが、高校3年生という飛鳥の
設定を、いくら延長したいからと言って、何年も続けることは難しい。
原作の漫画では、リンダ(飛鳥)とリッキー(哲也)に娘が生まれ、そ
の娘を主人公に続編が連載されていたようだが、テレビドラマの「おく
さまは18歳」は1年間で最終回を迎えた。

 しかし、局や製作会社側は、なんとか二匹目のドジョウを狙いたい。
そこで後番組のタイトルは「なんたって18歳!」となり、少女漫画の
原作を番組側から同時進行させるという形でのスタートとなった。

 <飛鳥は「飛鳥」じゃなかったかも?>

 出演を決定した後、製作サイドから「役名の変更」の連絡があった。
脚本家の佐々木守の希望で哲也に「ゆりっぺ」と呼ばせたいから「高木
百合子」に変えるという。それを聞いた岡崎友紀は、是非「飛鳥」の役
名で演じたいので変えないで欲しいと伝えた。

 もしかすると、役名「飛鳥」は、この段階で消えてしまっていたかも
しれない。しかし、唯一無二の魅力を持つこの作品の主人公の名前は、
絶対に「飛鳥」のままであるべきと岡崎友紀が確信していたことで、役
名の変更はされなかった。


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